ある朝、駅のホームで電車を待っていた時、親子連れが歩いてきた。
お母さんと2人の子ども。この満員電車に乗るらしい。
子どもはまだ小さく、上のお兄ちゃんが幼稚園生くらいか。
お母さんは日本人だから子どもの容姿から想像するにお父さんは外国の方。
電車に乗ると私のすぐそばにいるその親子の会話が聞こえてきた。
お母さんは日本語で話しかけ、子どもたちは英語で答えている。
だから全部わかるわけじゃないけど
お母さんの受け答えから不明な英語の部分は補完して理解できた。
そうやって他愛のない親子の会話を心和ませながら聞いていたら
唐突にお母さんが子どもたちに質問した。
「こういうのなんていうか知ってる?」
なんのことを言ってるんだろう?と思ってると
子どもたちもわからなかったようで返事がない。
「満員電車って言うんだよ。」とお母さん。
するとお兄ちゃんが
“I hate this!”
と、力いっぱい吐き捨てるように言った。
「大丈夫、みんな嫌いだから」とお母さんは笑うでもなく冷静に返す。
私は、その会話に思わず吹き出しそうになった。
そして心の中で “Me, too!!” と叫んだ。
前の会話となんの脈絡もなくそんな質問を冷静にするお母さんも
感情を吐き出すように「これ、嫌い!」って言い切ったお兄ちゃんも
可愛くて微笑ましくて可笑しくて、
会社に行かなきゃいけない憂鬱な気分が束の間吹っ飛んだ。
その会話が聞こえていた人みんな、実は笑いをこらえていたんじゃない?
そして子どもの素直な気持ちにちょっと癒やされたよね。
満員電車なんてみんな大嫌いなのに
「満員電車なんて全然平気です、慣れてますから」って
しれっと涼しい顔して乗ってる大人たち・・・・・ね。