ネットではバービーと原爆を一緒にしたファンアートが炎上している。
それに関しては不快感しかないが映画はそれと関係ないので見に行った。
気軽に楽しめるコメディ映画だと思って見たのだが・・・違った。
コメディではあるのだけど声を出して笑うような映画じゃなかった。
あくまでもコメディで深刻なストーリーではないけれど
ジェンダーについて改めて色々考えさせられる内容だった。
(ちょいネタバレあり)
バービーと言えばスタイル抜群で美人でブロンドヘア。
白人で細身で巨乳、青い目のブロンド女だけが=正解!な人形が
今の時代、スルーされるわけもなく、
黒人やアジア人のバービー、ぽっちゃりバービー等々、
とにかく人種差別や女性蔑視にならないように多種多様なバービーがいる。
作家のバービー、大統領のバービー、現場作業員のバービー。
そんなとかくニュースになりがちなバービーの横で
ひっそり佇むボーイフレンドのケン。
その存在の薄いケンが「男の社会」に目覚めたせいで
大騒ぎになるのがこの映画の大筋。
いわゆる“タフガイ”になるんだーっ!って。
強い男、完璧な男、筋肉隆々マッチョでリッチで、隣にはトロフィーワイフ。
元大統領のトランプを思い出した。
もうジジイだからマッチョでもイケメンでもないけど、
アメリカ人が思う “タフガイ”を体現してるおっさんだよね。
トランプの“タフガイ”っぷりは、一昔も二昔も前の古いジェンダー感だけれども
あれがまだ根強く人の意識にあるのも事実。
だからトランプを熱狂的に信望する人も多いのだろうし。(アメリカでは)
いつでも強い俺、いつも完璧な俺、なんて人いるわけないのに、
そういう強い男がフツーで、そうでない男は負け犬って価値観、ジェンダー感。
女を召使いのように扱う男社会を作って
“タフガイ”になったはずケンだけど、なんやかんやあって結局、
疲れ果ててバービーの隣にいるケンに戻る。
日本は、女性が生きづらい国として世界中に知れ渡ってるけれど、
古いジェンダー感にとらわれているアメリカ人男性も生きるのが辛そうだと、
ケンが必死に男社会でイキってる様子を見てちょっと可哀想になった。
コメディだけど大笑いしてスッキリするタイプ映画ではない。
でも、ぜひたくさんの人に見て欲しいと思う。