子どもの頃聞かれた将来の夢。
皆一度は、作文を書かされたはず。
幼稚園の卒業アルバムに「将来の夢 看護婦さん」と書かれてる。
看護婦さんが何か知らずに答えた。
覚えたての言葉が言いたかった。
小学校の卒業文集には、レポーターになりたいと書いた。
TVの「なるほど・ザ・ワールド」が好きだった。
犬の訓練士になりたいと作文に書いたこともある。
将来の夢を聞かれる度、困ってた。
夢なんてなかったから。
「何もない」って言えない。
子どもはみな将来の夢がある前提。
子どもらしい答えも期待される。
大人の期待に答えようと一生懸命考えた「夢」。
高校生。
進路を決めないと。
なりたい職業はない。
だって、働いたことがない。
なのに、決めろと言う。
同級生は、夢を定め受験勉強に勤しむ。
疑問だった。
なぜ、働いたことがないのに、なりたい職業があるのか
それに向かって勉強できるのか。
なりたい職業がない人もとりあえず大学に行くべく受験勉強してる。
なぜ、“とりあえず”受験勉強できるのか。
こんな私は、ギリギリまでのらりくらり。
進学しないと家を追い出すと親に言われて、受験勉強開始。
実は、勉強してるふり。
当然受験は失敗。
私は、そりゃそだろと思っただけ。
親は、ショックで怒った。
その後、受験のない専門学校に入ってなんとか凌いだ。
やりたいこともなりたい自分もない。
欲求が薄い。
無いわけじゃないけど、
何が何でも、どうしても、負けたくない・・・
っていう、ギラギラした欲求、情熱がない。
人と争ってまで手に入れたいものはない。
争うくらいなら退く。
争うなんてメンタルがもたない。
この生き方を負けというならそれでいい。
すべてを手に入れようとしてる人は、しんどそう。
私が子どもの頃、女は結婚して専業主婦になるのが普通だった。
専業主婦で子を連れてスーパーに買い物に行く自分を想像して、モヤモヤした。
専業主婦にはなりたくないと思った。
なんでそう思ったのかわからなかった。
夫の扶養下の生活。
夫の「妻」
子どもの「親」
自分がいない。
アイデンティティがない人間になりそうで嫌だったんだと
今ならわかる。
じゃ、今の自分は何なのか。
妻でも親でもない。
主婦でも学生でもない。会社員ですらなくなった。
なんの肩書も代名詞も役割もない。
何でもない自分。
そんな自分にほっとする。
将来の夢がなかった子どもは、
何もない大人になった。
